はじめに
誘電率の2つの誘電体の境界面における電場の屈折について考える.
誘電体1側から電場,電束が入射角で入ってきたとき,誘電体2側に出ていくを求めたい.
条件は
- 電場は接線連続:
- 電束は法線連続:
- 誘電体2側での構成則:
なので,解くと
たとえば とすると,切りがよく となる.図にするとこんな感じ:
問題意識
代数的に計算すれば確かにこの結果になるし,上の公式はガウスの式とかファラデーの式という解析的な式から証明できる.それはそうなんだが,「電場は接線連続,電束は法線連続.逆に言うと電場の法線成分や電束の接線成分は不連続になりえる」などいう呪文は考えると訳が分からなくなってしまい覚えられない.何故は小さくなっては大きくなるのか.もうちょっと何と言うか,幾何的に理解できないものか.
イラストレーションの検討
要はもも矢印で表すのが悪い.
おわりに
最後に図を重ね書きしておく.これを見てると,マクスウェル方程式などが割と直観的にイラストレートできていると感じる.
- 誘電率が変化するとき,ベクトルの法線成分やベクトルの接線成分は不連続なので場としても不連続なイメージを持ちそうだが,実際はを表す等電位線やを表す細管は境界面で折れ曲がるだけで本数は変わらない.境界面で新たに生じたり消滅したりはせず,つながっている.これはからの帰結.
- の大きい物質の中では相対的には間隔が広くなり,は密になる*7.これはからの帰結.
ただ,あとを幾何学的に表す方法,を幾何学的に求める方法があればいいんだけど,うまい手が見つからないなあ.
を磁場に,を磁束に,そしてを透磁率に置き換えれば(),磁性体境界における磁場の屈折について同じイメージで考えることができる.
*2:紫領域は長方形である必要はない.また,この図では全部カウントしたが,紫領域を薄く(縦長に)すれば上下境界を横切る等電位線はないものとしてよく,このとき左右境界を横切る等電位線の数がベクトルの接線成分と同じになる.
*3:3次元的に考えると本当は等電位線ではなく等電位面だし,横切る箇所は点ではなく閉曲線になるのだが,まあイメージだしこれでいいや.
*4:と同様にが2形式であることに対応.
*5:電場のときと同様,紫領域を薄く(縦長に)すれば上下境界を横切る細管はないものとしてよく,このとき左右境界を横切る細管の数がベクトルの法線成分と同じになる.
*6:境界面に電荷がある場合は,紫領域の内部から電束が生じているため境界面での細管の合計は 0 にならず(),したがって法線連続とならない.
*7:少しの電位勾配で多くの電束が通る,あるいはたくさん電束を通しても少ししか電位が変わらないという感じか? は大きいほどより導体に近く,小さいほどより絶縁体に近い,というイメージらしい.