基本の2次元版
熱力学の基本変数として温度 ,圧力 ,体積 ,エントロピ を並べる.このとき,共役な変数の対 が反対側になるようにする.
次に熱力学ポテンシャルを並べる.内部エネルギ は微分形
ここから を引いたり を足したり*1すると,
通常出てくるボルンの正方形から45°回転させた形にはなっているが,これが基本形.
3次元化
基本変数に別の変数のペアを追加しよう.ここでは物質量 と化学ポテンシャル のペアとする.ボルンの正方形を立方体に拡張し,6つの基本変数を6面に対応させる.
図1.1はこの立方体を の面から見ていたことになる.
内部エネルギは式(1.1)から第3項が増えて
さらに4つのポテンシャルから を引いて,
という4つのポテンシャルが新たに出来上がる.式(2.3)はグランドポテンシャルと呼ばれる.式(2.4)はギブス・デュエム式より 0 になる関数.式(2.1), (2.2)には特に名前はない(ので記号も適当).
結局ポテンシャルが合計8つできあがり,これは立方体の8つの頂点に対応させることができる.
2次元版を外側へ拡張
いったん2次元版の図1.2に戻り,ポテンシャル関数の偏微分やマクスウェルの関係式のような基本変数同士の偏微分関係を整理していく.
まず内部エネルギ(1.1) の偏微分
同様にエンタルピ(1.2)から
ヘルムホルツエネルギ(1.3)から
ギブスエネルギ(1.4)から
が出てくるので,正方形の外側に書き加える.
ここでマクスウェルの関係式の並べ方に一工夫してあり,「偏微分で固定する変数」が揃うようにしている.たとえば を固定する偏微分 の2つは内側正方形の の近くに来るようにしている.
こうすると,合成関数の微分の公式
他の箇所にもこの手が使えることから,外側には八角形ができる.
公式を全部使ってない気がする...
(熱力学のこの辺の勉強のときにしか使ったことのない)公式
最終的に2次元版はこうなる:
いろいろ書き足したので,内側のポテンシャルは邪魔に見えてくる.以下では省略する.
3次元版を外側へ拡張
上述したように,2次元版の正方形(図1.1)は3次元版の立方体(図2.1)を の面から見たものと考えることができる(なので,式(3.1)-(3.4)の偏微分は実はすべて が固定されていたことに注意しておく).
では別の面から見たらどうなるか.図2.1を右側の の面から見てみよう.このとき基本変数は の4つが,ポテンシャル関数はエンタルピ ,ギブスエネルギ ,あと式(2.2), (2.4)の4つが見えることになる.
図3.6と同様に八角形部分を書くと下図のようになる:
この図4.1と図3.6とをよく見ると,1か所だけ, が共通して出ていることが分かる.つまりこれら2つの図は結合できる.
ということは,同様に立方体の残りの の面にも八角形を書くとそれぞれ結合でき,結果として切頂立方体の形で整理できることになる.
https://ja.wikipedia.org/wiki/切頂六面体
自由度はいくつ?
分かりません.
一面ごとに3自由度あるので高々18個.しかし隣り合う2面に共通するものが1個ずつあるので,12個引いて残り6個?
変数が60個もあって6自由度しかないの?
さらに高次元に拡張したらどうなるか
基本変数のペアをさらに増やし,内部エネルギを
4次元としても切頂の部分で辺が何本,面が何枚できるのかも分からんし.