wetchのブログ

他人に見られることを想定していない書き散らかし独習ノート.物理学とかVBAとか.

電磁気学の単位系 (3)

\kappaは使わないほうがいいかなあ.E,B,D,Hがエネルギの次元を含まなくても書けるから敢えて分離させたのだけど,たとえばEDが共役(双対?)な物理量だということを考えると,これらの積が(\kappaがなくても)エネルギになったほうがいいのかもしれない.
という訳で\kappaをなくし,エネルギの次元を他の物理量に分配する.

マクスウェル方程式は前回の5元系とほぼ同じ.ただしローレンツ力から\kappaが消えるので
  F=\rho E+\frac{1}{\gamma}j\times B
になるところだけが変更になる.

各物理量の次元はできるだけ前回と同じように書きたい.\kappaの次元が\mathsf{E T},つまり作用と同じなので,今までエネルギの次元を使ってたけどこれを作用の次元\mathsf{A}を使うことにする.すると,

  • 電場・磁場はE,Bが変更を受ける:

  \begin{align}
[E]&=\mathsf{A}\mathsf{C}^{-1}\mathsf{L}^{-1}\mathsf{T}^{-1}=\left[\mathrm{\frac{(Js)}{C\cdot m\cdot s}}\right],\\
[B]&=\mathsf{A}\mathsf{\Gamma}\mathsf{L}^{-2}=[\mathrm{(Js)\cdot Wb/m^2}],\\
[D]&=\mathsf{C L}^{-2}=[\mathrm{C/m^2}],\\
[H]&=\mathsf{\Gamma}^{-1}\mathsf{L}^{-1}\mathsf{T}^{-1}=\left[\mathrm{\frac{1}{Wb\cdot m\cdot s}}\right]
\end{align}

  • ポテンシャルは変更なし:

  \begin{align}
[\phi]&=\mathsf{C}^{-1}\mathsf{T}^{-1}=\left[\mathrm{\frac{1}{C\cdot s}}\right],\\
[A]&=\mathsf{\Gamma L}^{-1}=[\mathrm{Wb/m}]
\end{align}

  • 定数類はどうしてもややこしくなってしまう:

  \begin{align}
[\epsilon_0]&=\mathsf{A}^{-1}\mathsf{C}^2\mathsf{L}^{-1}\mathsf{T}=\left[\mathrm{\frac{C^2\cdot s}{(Js)\cdot m}}\right],\\
[\mu_0]&=\mathsf{A}\mathsf{\Gamma}^2\mathsf{L}^{-1}\mathsf{T}=[\mathrm{(Js)\cdot Wb^2\cdot s/m}],\\
[\gamma]&=\mathsf{C \Gamma}=[\mathrm{C\cdot Wb}]
\end{align}

これの難点としては,磁束の次元が\mathsf{\Gamma}ではなく\mathsf{A \Gamma}になってしまうこと.