菅野本を3冊も読めばちょっとくらい分かるだろと思ったんだけど...
参考文献
- 菅野礼司,ゲージ理論の解析力学,吉岡書店,2007,pp.61-63
- 菅野礼司,微分形式による特殊相対論,丸善,1996,pp.76-77
- 木村利栄,菅野礼司,微分形式による解析力学,吉岡書店,1996,pp.19-21
大事な公式
ポアンカレの補題
証明は省略していく.
そもそもの動機として,微分方程式
を満たす関数を見つけたい.これは微分形式で書くと
すなわち
と等価.しかしこれを満たすがそもそも存在するかどうか分からない.
それを判定する条件の一つがポアンカレの補題:「与えられたに対し式(2)を満たすが存在する必要十分条件(他の追加条件もあるけど)は,
成分で書くと
である.」
の具体的な書き下しもあるようだが,複雑なので省略.
フロベニウスの定理
一方,式(3)を満たさない:であったとしても,うまく積分因子をとり,が積分可能:
であるようにできると嬉しい.これはポアンカレの補題より
と同値なので,式(5)が満たせればが存在すると言える.
式(5)を実際に計算すると
よって,もしを
あるいは成分で書いて
が成り立つように選べれば,の存在が言える.
また,等価な判定条件として
も言える.
簡単化
話を簡単にするために特別な場合を考える.を,のみの関数となる範囲で探す*1.
式(6’)の右辺第2項は要らんから
となるので,与えられたに対しこのがうまいことのみの関数になってくれれば,
を積分因子にすれば積分可能となる.
成分で検算しておこう.がのみの関数であることに注意しながら微分すると,
ここで
を使った.
積分結果は
例題
を解こう.書き換えると
または
に対して式(2)か式(4)を満たすを探せという問題になる.
式(b)を微分すると
なのでならポアンカレの補題は適用できない.
しかし2次元なので計算するまでもなく式(7)が成り立つ*2ので,フロベニウスの定理が適用できる.
それには式(6)より
となるを探せばよい.左辺に式(c)を,右辺に式(b)を代入すると
簡単にするため,式(8)の量を確認:
うまいことがのみの関数になったので,がのみの関数となる範囲で探せる.式(9)より
これにより,
は
なのでポアンカレの補題より積分可能となる.
よく目を凝らせば
であることに気付き,そもそもの問題の式(b)よりであるから,
の表式に直して