参考文献
- 菅野礼司,ゲージ理論の解析力学,終章 ゲージ理論について,pp.217-232
- 清水明,熱力学の基礎 第2版 II: 安定性・相転移・化学熱力学・重力場や量子論,Ch.20 外部で不均一が生じる系の熱力学§20.1 非相対論的な場合,pp.164-174
- www.youtube.com
- 坂本眞人,場の量子論: 不変性と自由場を中心にして (量子力学選書),§7.2
高度な文献の話と分からない点
坂本の本をもとに書いてみる.
- 波動関数 を考える.たとえばディラック方程式とかクラインゴルドン方程式とかに従うようなやつ.
- 大域的変換
で不変とする.ここでは定数.の微分ももちろん同じ変換則に従う: - 局所的変換を考える:を時空の関数として,は
と変換するとする.このとき微分は, となり,の変換則と異なってしまう. - ゲージ場 を導入して共変微分を とし, が と同じ変換をすることを要請する.つまり
実際に計算すると, および この2つが一致するから, は と変換する必要がある(十分条件は?).これはまさに電磁ポテンシャルのゲージ変換であり,これが電磁力の起源であると見做せることになる.
力というのは,この例のように基準を人間が勝手に変更しても物理現象が変わらないようにするために現れる調整パラメータであるとみなすことができる.
こういうのを局所ゲージ変換をしても系が不変であるようにゲージ場が現れる,と言う.
・・・らしいのだが,波動関数の位相のイメージが分かっていないのでうまく理解できない.
初等力学で言うとどうなるのか?
重力場内の質点
- 質点に下向きに重力がかかっている状況を考える.座標軸として鉛直上向きに軸をとり,質点はの位置で静止しているとする.この系の位置エネルギーは
で一定. - 上記では暗黙の了解として位置エネルギーの基準高さはとしていたが,少し一般化し,ある一定の高さから測ることにする.位置エネルギーは
に変わるが,一定であることは変わらない. - さらに一般化し,基準高さが時間の関数であるとする.すると今度は一見してエネルギー
が時間的に変化するように見える.微分で表すと - しかし基準高さの変更は私が勝手にしたことであり,物理現象はそれに影響されて変わってはならない.だから何とかしてを時間について一定にしないといけない.そのために力を加え
とする.であることに注意して微分すると これが 0 でなければならない訳だから, の力がはたらかなければならない.
バネ系
ポテンシャル内で静止している質点系
これまでの重力ポテンシャルやバネのポテンシャルの部分を一般化しと書く.
- 質点がポテンシャル 内で静止しているなら,エネルギーはそのまま
- 座標を測る基準位置をずらし, に変える.ここではまだ
- 基準位置を時間の関数に変える.
- これがconst.となる,すなわちエネルギーの時間微分が 0 となるように追加項を入れる.
ここから の力を加える必要があることが分かる.
ポテンシャル内のエネルギー一定の質点系
運動エネルギーも加えてみる.
- 全エネルギーが一定であるとする:
ここでは時間の関数だが,より が成り立つ. - 座標の基準位置をずらす.
すると で,多分これは 0 と言ってよいから も言える. - 基準位置を時間の関数に変える.
- 時間微分が 0 となるように追加項を入れる.
よって の力を加える必要がある.
結果ありきの不完全な論理になってしまった.要改善.
(未完成)解析力学
座標,運動量,ハミルトニアンで表される系について,たとえばを定数分だけずらす座標変換は,母関数
ここでずらし量が時間の関数とすると
熱力学
ちょっと論理の流れが違うけど一応.
高さに対して重力的なポテンシャルがかかってる熱力学的な系が平衡状態にある*2.系を高さ方向に部分系に細断して,各部分系ではポテンシャルは均一とする.部分系の内部エネルギーを,粒子数をとする.
この系の状態を求めるには,原則としては保存量としての拘束条件
よいのだが,ここで内部エネルギーにポテンシャルを繰り込んで:
つまり物質を駆動する力である化学ポテンシャルにポテンシャル分の力が加わることになる.