軸性ベクトルとか,擬テンソルとかって難しいよね・・・
参考文献
- 北野正雄,新版マクスウェル方程式―電磁気学のよりよい理解のために (SGC Books),サイエンス社,2009,pp.223-230
- 北野正雄,電磁気学におけるパリティについて ノート - masaokitano
- 谷村省吾,捩形式の定義・抽像・応用,http://www.phys.cs.is.nagoya-u.ac.jp/~tanimura/lectures/Tanimura_twisted-form_190802.pdf
所感
混乱の原因のひとつには,符号を決める要因が4種類あること:
このせいで整理の仕方に工夫がいる.幸い3つ目,4つ目はパラメータで表せて数式になるから何とか表形式にまとめられているけど.
もうひとつは座標軸を反転させる「受動変換」と対象であるテンソルを反転させる「能動変換」が他の文献ではごっちゃになっていることがあると思う.だけど実はテンソルの成分だけを見る限りは両者に違いはなく,また能動変換だけを考えるならば成分と対象には同じように符号が付く.したがって最初は「受動変換のときの成分」を考えていたはずが,図を書くときは「能動変換のときの対象」でイメージしてしまったりする(それでも符号の付き方が同じだから).でもそれは本当は違ってて,「受動変換のときの対象」だけは符号の付き方が違うんだよと言われたら混乱するよね.
前提,用語,記号
- 空間の次元は3次元とする.
- 通常(の量):擬ではない量のこと.
- :テンソルの階数
- 擬性:通常の量なら0,擬量なら1をとるパラメータ
- :基底
- 以下は電磁場の記号を流用して記号を割り当てる:
- 反転とは,座標系を右手系から左手系に変えること.一般の次元の場合は基底の順序を奇置換の並びに変えること.以下の2種類がある:
個別にみていく
ここではとりあえず代数的に整理を試みたが,イラストで直観的に示したのにスハウテン図というのがある.
ベクトル
通常のベクトル
変換前の に対して,
- 受動変換:左辺の対象はのまま,右辺の基底をに変える.
より,成分にはマイナスが付く. - 能動変換:左辺の対象がと変わり,基底はのまま.
より,成分にもマイナスが付く.
擬ベクトル
変換前の に対して,
- 受動変換:対象がと変わり,基底をに変える.
より,成分は変化しない. - 能動変換:対象はで変化せず,基底ものまま.
当然成分もそのまま.